シワの出来る大きな要因として、紫外線を浴びる事による肌へのダメージがあることは周知の事実です。
肌が紫外線を浴びると、体の組織を酸化させてしまう活性酵素が作られます。この活性酵素が、肌のキメやハリを保つために重要なコラーゲンやエラスチンの機能を阻害してしまうのです。この活性酸素に対抗するには、抗酸化作用のあるビタミンCの摂取が大変有効です。
ビタミンCにはこの抗酸化作用に加えて、メラニン色素の生産を抑制する作用もあり、しわだけでなく、シミやくすみに対しての効果も期待できます。
しかし、食事やサプリメントで積極的にビタミンCを摂ってもビタミンC成分を含んだ化粧品を使用しても、残念ながら肌にはほとんど効果がないことも分かっています。
しかし長年の研究によって、ビタミンCを肌に効果的にもたらすことの出来る方法が開発されました。それが「イオン導入法」です。
イオン導入法の原理
皮膚の表面に塗布した薬物に弱い電流を流すことで、効果的に皮膚内へと浸透させるという技術をイオン導入(イオントフォレーシス)といいます。もともとは麻酔薬やインスリンなどの薬剤を注射針を使わずに痛みなく皮膚へ浸透させる目的で開発されてきたもので、麻酔科や歯科などの医療現場で実用化されています。
電解質溶液に電流を流すと、電離したイオンはその電荷と反対の電極に向かって流れます。つまりマイナスの電極を薬剤を浸透させたい皮膚に置き、プラスの電極を手に持って電流を流した場合、水に溶けるとマイナスに帯電するイオンがプラス極へ移動しますので、皮膚に浸透することになります。
美容で用いられるイオン導入法
イオン導入法の原理を美容皮膚科の分野で応用しているのが、各種ビタミン剤などに対するイオン導入です。シミ・シワの治療の目的で顔面にビタミンCやAの外用剤を塗布することが一般的に行われています。この外用剤をイオン導入を用いて塗布することで通常の塗布より多量に皮膚に吸収させることが可能になるのです。現在では、多くの美容皮膚科医師がこの方法を取り入れて治療を行っています。特にピーリング処理後で角質が薄くなっている場合であれば、さらに効果的とされています。
このイオン導入法を1ヶ月に1回ないしは2回、定期的に繰り返し行うことで肌は徐々にキメが細かくなり、くすみやシワも改善されます。さらにうれしいことに、イオン導入法は副作用の心配もなく安全な美容法の一つです。
エステティックサロンではもちろんのこと、現在では自宅で手軽に行える器具も市販されています。
市販されているイオン導入美顔器
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家庭で行うイオン導入法
市販のイオン導入美顔器により、自宅で毎日のように利用することも出来ますが、あまり頻度が多いと肌にとって有用な成分まで流失してしまう可能性も増加します。あまり欲張らずに、2~3週間に1度のケアが肌にとって最も良い状態が維持されるとされています。
先ほども触れましたが、このイオン導入法の効果をさらに高めるためにはケミカルピーリングとの組み合わせがオススメです。
ケミカルピーリングとは、フルーツ酸ともいわれるグリコール酸や乳酸、サリチル酸などごく弱い酸を用いて皮膚の角質を除去するという方法です。軽いシミ・こじわ・肌のくすみの軽減に効果があります。
肌の状態を確実に改善することのできるケミカルピーリングをした後は、古くなって老化した角質がすっきりと落とされているので、ビタミンCの吸収力が飛躍的にアップします。
良い事ずくめのようなケミカルピーリングですが、期待したような効果が得られない可能性もある・費用がかさむ・副作用としてすりむいたように肌の赤みが残る・乾燥肌になるなどのデメリットがある点も理解しておく必要があります。